【介護の日本語】介護の技能実習生、入国後講習のお手伝い
みなさんこんにちは。
介護士兼プロボクサー兼日本語教師の内藤です。
先日、介護の技能実習生の入国後講習のお手伝いをさせていただきました。
入国後講習の中で『介護導入講習』というものがあります。
今回はそちらの研修でお手伝いしたことについてお話しさせていただきます。
まず、介護の技能実習生の入国後講習はどのようなものか簡単にお話させていただきます。
介護の技能実習生は入国した後、研修センターで各種研修を受けることになります。
例えば、日本語の授業ですと240時間行うことになります。
240時間の中には「介護の日本語」40時間も含まれていますが、
それとは別に介護職の技能実習生は『介護導入講習』を受けなければなりません。
『介護導入講習』は、介護の専門知識や技術を教える研修ですので、担当する講師は日本語教師ではありません。介護の専門の先生になります。
『介護導入講習』の講師の要件は、『実務者研修の講師や初任者研修の講師として、講義を教授した経験がある者』とされています。
今回、私がサポートさせていただいたのは、『介護導入講習』です。
なぜサポートが必要だったかというと、『介護導入講習』の講師は先ほどご紹介した通り、介護のスペシャリストではありますが、外国人の方、特にN4相当の日本語力の方に講義をした経験がない講師が多いためです。
専門的な知識を思うように伝えられずお困りのことが多い上に、さらに今回は急遽『介護導入講習』を初めてオンラインで実施することになり、普段よりも不安要素が多いことから研修のサポートに入らせて頂きました。
私が行ったサポートは、
板書やPPTの資料を『やさしい日本語』にして、日本語能力がN4相当の実習生にもわかりやすく伝えることでした。
例えば、
『身体を洗うときは、要介護者の希望を確認し、上半身、下半身の順に洗います。
必ず、力加減も確認します。』
この文をPPTで見せても、N4相当方にとっては理解するのに一苦労です。
皆さんなら、どう伝えますか。
私がやさしい日本語に変えた文はこうです。
『身体を洗うときは、要介護者に声をかけます。どこから洗うか聞きます。
上半身、下半身の順番に洗います。痛くないか確認します。』
いかがでしょう。かなり分かりやすくなったのではないかと思います。
担当講師も一生懸命言葉を選びながら講義をされていましたが、つい敬語を多用してしまったり、熱が入ると長い文で話されていました。
実習生にとっては、普段聞きなれない敬語は難しく、長いセンテンスで話してしまうと必要な情報を聞き取るのが難しくなってしまいます。
講義の中でなかなか伝わらないところが出てきた際には、私が『やさしい日本語』に変えて実習生たちに伝えました。
ネイティブ日本語では、実習生達の目が段々点になっていきますが、『やさしい日本語』に変えて伝えると、皆さんスッキリした表情をされていました。
私が関わらせていただいたのは6日間の研修のうちの3日間でしたが、いい研修になったと感じました。
オンラインでは、なかなか伝えることが難しい場面もありましたが、実習生の方々もみんなで協力しあって授業に参加されていました。
研修当初は実習生同士の会話も少なかったですが、だんだんと口数も増え、皆で協力しながら研修を進められるようになっていきました。
短い時間でしたがONE TEAMになれたような気がしました。
せっかくいいチームができたのですが、これから技能実習生たちは別々の施設に配属されていくそうです。
研修センターで作ったいいチームのように、配属先の施設でもいいチームの一員として活躍されることを願っています。
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内藤開発・監修
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株式会社aileron(エルロン)
内藤 友彰(介護士兼現役日本語教師)
大学院修了後、大手介護施設で勤務し、日本語教師に転職。
介護施設での勤務経験を活かし、EPA ベトナムの 現地講師を経験。
帰国後、日本語学校の専任講師として入国後の EPA 候補生を指導しながら、施設配属後から 国家試験までの 3 年間のカリキュラムのデザインや介護の日本語の教材を作成。
現在は株式会社エルロンで、介護技能 実習生を対象とした授業を担当。
研修センターの日本語教師向け「介護の日本語」研修も行っている。
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