【介護の日本語】介護施設で働く外国人が、日本語面で苦労していること②

みなさんこんにちは。

介護士兼プロボクサー兼日本語教師の内藤です。

前回、介護施設で働く外国人が、日本語面でどんなことに苦労しているかついてお話ししました。

≪ 前回 ≫
【介護の日本語】介護施設で働く外国人が、日本語面で苦労していること①

今回はどんな業務の時に困っているかについてお話しします。

私がいままで関わってきた介護施設で働く外国人の方々に、「仕事で困っていることはないですか」と聞くと、ほとんどの方が「申し送り」と答えていました。
これは国籍、勤務年数に関わらず、みなさんの悩みのようです。
ちなみに2番目に多い困りごとは「記録の読み書き」のようですが、今回は申し送りについてお話していきます。
申し送りとは次の日勤者や夜勤者に共有しておかなければならない情報を共有する場です。
利用者さんの体調について報告することが多いですが、この申し送りを聞きとることが外国人にとっては非常に難しいのです。
申し送りでは、聞きなれない専門用語が数多く使われるので、途中から何の話をしているのかさっぱりわからなくなるそうです。

例えば、「203号室の田中様、本日、入浴の際に背部に発赤があるのを確認しました。痛みはないが、かゆみがあるとのことなので看護師に連絡し、軟膏を塗布してもらっています。本日から、就寝前に軟膏塗布することになりましたのでお願いします。軟膏は2階キャビネットの中にあります。」

これは、簡単な部類の申し送りだと思いますが、この中にも聞きなれない言葉がいくつかありますね。
こうした専門用語を聞いて瞬時に理解し、メモをとらなければなりません。
日本人の話すスピードが速くて聞き取れないこともあります。
日本人は主語を抜いて話すことも多く、わかりにくいこともあります。
話の途中に、「そういえば」などと、前の話の補足を始めたりしたら、もう誰の何の話をしているのか、さっぱりわからなくなりますね。

また、日本人職員の中にも、日本人が聞いてもよくわからないような申し送りをする人がいます。
時系列がめちゃくちゃだったり、要点が不明瞭だったり・・・
いま、これを読んでいる介護職の方は心当たりのある顔がパッと思い浮かんだのではないでしょうか。
・・・と、自分のことを棚に上げて話しましたが、私も申し送りをするのは苦手で、いつも当番の際は緊張していますが(苦笑)

様々な要因があり、外国人の方にとっては申し送りが難しく感じるようです。
ところで、みなさんの施設では外国人の方にもわかりやすい申し送りの配慮をしていますか?

次回は、外国人のスタッフを受け入れる際にどんな準備をしたらいいかについてお話しします。


株式会社aileron(エルロン)
内藤 友彰(介護士兼現役日本語教師)
大学院修了後、大手介護施設で勤務し、日本語教師に転職。
介護施設での勤務経験を活かし、EPA ベトナムの 現地講師を経験。
帰国後、日本語学校の専任講師として入国後の EPA 候補生を指導しながら、施設配属後から 国家試験までの 3 年間のカリキュラムのデザインや介護の日本語の教材を作成。
現在は株式会社エルロンで、介護技能 実習生を対象とした授業を担当。
研修センターの日本語教師向け「介護の日本語」研修も行っている。

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