【介護の日本語】介護施設で働く外国人が、日本語面で苦労していること①

みなさんこんにちは。

介護士兼プロボクサー兼日本語教師の内藤です。

こんにちは。
介護士兼日本語教師兼プロボクサーの内藤です。
前回、LPT(日本語能力試験)と介護現場で働く外国人との関係についてお話ししました。

≪ 前回 ≫
【介護の日本語】JLPT(日本語能力試験)と介護現場で働く外国人

今回は、介護施設で働く外国人が、日本語面でどんなことに苦労しているかお話しします。

外国人にとって、というか日本人もそうですが、医療介護用語を勉強するのはとても大変です。
特に外国人は日本人より苦労していると思います。

勉強する際に、勉強のハードルを上げているのが漢字です。
日本人が高校卒業までに勉強する漢字は約2000です。
一方、前回触れたJLPT(日本語能力試験)のN4の方は約300の漢字がわかります。
N3の方は約650の漢字がわかります。
近年、このN3、N4くらいの日本語力の方が介護現場で増えてきています。
N3の方でも介護現場で働く際は漢字力が足りないと思います。
引き続き漢字の勉強は必要だと思います。
また、医療介護用語の漢字は難しく、日本人でも読むのが難しいものがあります。
例えば「褥瘡」「譫妄」「嗄声」「仰臥位」「長坐位」読めますか?

読めたところで、こうした言葉を聞いて瞬時に理解し判断するのは難しいです。
例えば「仰臥位」「長坐位」という言葉を聞いて、瞬時に利用者さんの体勢をイメージしなければなりません。
日本語がまだ不慣れでN3、N4くらいの人はまだ日常生活に関する話でも聞き取れないことがあります。
そうした方が、普段聞きなれない医療介護用語を聞きとることは難しいです。

さらに言葉の使い方にも気をつけなければなりません。
外国人にとっては何が専門用語か知りませんし、使う時もしっかり誰かが教えてあげないと間違えてしまうことがあります。
例えば、日本人スタッフが申し送りで「仰臥位」という言葉を使っていたので、さっそく自分も使ってみようと思い、利用者さんに「仰臥位になってください」と声かけをしてぽかーんとされてしまったという感じです。
どの言葉が専門用語で利用者さんに通じるのか通じないのかを教えてあげないと上記の例ように使い方を間違えてしまうことがあります。
難しい言葉を覚えるだけでなく、利用者さんとスタッフ間で言葉の使い分けもしなければならないとは混乱してしまいますね。

いろいろ紹介しましたが、医療介護に関わる日本語を勉強することは外国人にとって大変です。
独学で勉強するよりも、誰か的確にアドバイスしてくれる人と一緒に勉強した方がいいと思います。
みなさんの施設ではだれか一緒に寄り添ってくれるスタッフや先生はいるでしょうか。

次回は、もう少し、介護施設で働く外国人が、日本語面で苦労していることについてお話します。


株式会社aileron(エルロン)
内藤 友彰(介護士兼現役日本語教師)
大学院修了後、大手介護施設で勤務し、日本語教師に転職。
介護施設での勤務経験を活かし、EPA ベトナムの 現地講師を経験。
帰国後、日本語学校の専任講師として入国後の EPA 候補生を指導しながら、施設配属後から 国家試験までの 3 年間のカリキュラムのデザインや介護の日本語の教材を作成。
現在は株式会社エルロンで、介護技能 実習生を対象とした授業を担当。
研修センターの日本語教師向け「介護の日本語」研修も行っている。

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