日本語を教えるのに『日本語』だけ?!「日本語教師」という仕事
こんにちは。株式会社aileron(エルロン)の石川陽子です。
新年度に新元号と、気持ちが一新できるようなことが続きましたね。
「新」が続くこの時期、有難いことに新しい出会いが多い今日この頃です。
新しい方とお会いすると、簡単な自己紹介をしますよね。私は、自分の仕事について「日本語教師をしています。」とお話するのですが、そうすると必ずと言っていいほど、「じゃあ、石川さんは英語が堪能?」とか、「いろんな国の方に教えるということは・・・何か国語ぐらい話せるの?」というご質問を受けます。
ご期待と違っていて、いつも本当に申し訳ない気持ちになってしまうのですが・・・。
実は、私、お恥ずかしながら「日本語」しか話せません!
ということで、今回は「日本語教師」という仕事について、少しご紹介をさせて頂きます。
今、日本には数えきれない国籍の方々が来日されていますよね。
私が出会った外国人方の国籍をあげてみると、
中国、台湾、韓国、ベトナム、ネパール、ミャンマー、フィリピン、バングラディシュ、スリランカ、タイ、マレーシア、インドネシア、ウズベキスタン、セネガル、アゼルバイジャン、イギリス、アメリカ、ロシア、フランス・・・・です。
19カ国ありますね!おーびっくり。
「これだけの方々に日本語を教えるのに、『日本語』だけ?!」我ながら、不思議です。
日本語を教える方法として、大きくわけて2つの方法があります。
ひとつは、学習者の母語を使って説明する方法。もう一つは、日本語を日本語で教える方法です。
皆さんの中には、第二言語を学ばれた方々も多くいらっしゃると思うので、どちらもイメージを持っていただけると思いますが。私がするのは、日本語で日本語を教える方法です。
これは、日本国内での日本語指導方法としては、一般的な方法でもあります。
私が、担当してきたクラスには、ひらがな・カタカナは一文字もわからない。日本語で、名前、出身国などを聞いても、名前がなんとか答えられる、といったクラスもありました。
クラス開講初日、はりきってクラスのドアを開け「こんにちは!」と私が言うと、誰もわからなかったようでシーンと静まりかえり、しばらく微笑み合う・・ということもありました。
そういったクラスでも、教師は日本語を使って、日本語の授業を進めていきます。
「どうやって?」と突っ込みたくなりますよね。
日本語が全く話せない、というレベルの学習者の方の場合、沢山の身近なシチュエーションの絵を見せていきます。
「あるある場面」で何を言っているのかをしっかりイメージしてもらい、その会話を日本語で聞いて、言ってみる練習をするところがスタートです。
「でも、指示はどうするの?」
「説明は日本語じゃ無理でしょ?」
という質問が聞こえてくるような気がしますが・・・。大丈夫なのです。
「見てほしい」「聞いてほしい」「話してほしい」ということは、ジェスチャーで十分伝わります。
初日、3時間の授業の中で、何度も何度もジェスチャーと合わせて指示を出すので、それですっかり学習者の方も慣れることができるのです。
そして、学習者の方々にやってほしいと思うことは、まずは私がやって見せます。これで伝わります。
なので、私がしていることは「日本語を教える」ということではなく、「日本語でやって見せる」ということです。
先に挙げた、「(私)こんにちは!」「(学習者)シーン・・」のクラスも、初日は私の勢いに圧倒されながら口を動かしていますが、3時間の授業で簡単な自己紹介と、挨拶ができるようになります。初日、授業が終わって教室を出るときには、「さようなら!」と学習者から声をかけてくれました。
そして、3か月後、彼らは母国を紹介するプレゼンテーションを、日本語だけですることができるようになりました。
2年後、日本語学校を卒業するときには、将来の夢を語り、敬語を使った丁寧な言葉でお世話になった人たちに挨拶をしてまわっていました。
自分に置き換えて考えると・・・この学習者の方々の成長は本当に素晴らしいと、感動してしまいます。
外国人とコミュニケーションをとる方法は、英語や外国語を使うことだけではありません。
これから日本に来日する方々と、日本語で気楽に話せるような社会にしたいと思っています。
私の仕事は、こんな感じです。少しでもお伝えできていたら嬉しいです。
株式会社aileron(エルロン)
代表取締役/日本語講師
石川 陽子
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