外国人人材活躍事例:ZohoJapan株式会社様
4月1日から、在留資格「特定技能」に関する法律が施行されました。
新たな在留資格「特定技能」を新設する改正出入国管理法が4月1日から施行される。人材不足が深刻な14業種を対象に、一定の技能と日本語能力のある外国人に日本での就労を認める。単純労働での外国人材活用に門戸を開く。初年度となる2019年度は最大で4万7550人、5年間で約34万5000人の外国人労働者の受け入れを見込んでいる。(2019/3/31 20:47日本経済新聞より)
この法律によって、在留資格「特定技能」に該当する外国人人材で特定技能1号に該当する人材は5年、2号に該当する人材は期間の制限なく日本国内で働くことができます。
これは、人材不足にあえぐ日本企業にとっては人材を確保できる大きなチャンスです。
一方で、外国人の優秀な人材をどのように受け入れていけばその能力を発揮してくれるのかについては、悩んでいる企業も多いのではないでしょうか?
今回のケーススタディでは、すでに外国人人材を受け入れ成果を出しているゾーホージャパンの迫洋一郎社長に、海外人材受け入れと活用の実際についてお話を伺いました。
会社名 ゾーホージャパン株式会社 (英文名: ZOHO Japan Corporation)
※ 旧アドベントネット株式会社
所在地
本社 〒220-0012
神奈川県横浜市西区みなとみらい三丁目6番1号 みなとみらいセンタービル13階
TEL:045-319-4611(総務部) / 045-225-8953(ManageEngine & WebNMS事業部)
川根本町オフィス 〒428-0414
静岡県榛原郡川根本町東藤川1013-1
TEL:045-319-4614(Zoho事業部)
役員 代表取締役 : 迫 洋一郎
設立 2001年9月6日
資本金 9,000万円 (シンガポールZoho Corporation Pte. Ltd 100%)
従業員数 82名
決算期 3月
業種 その他の情報処理・提供サービス (3929:日本標準産業分類による)
業務内容 自社開発ソフトウェア製品の販売、付帯するコンサルティングサービス、保守サービスの提供
HP:https://www.zoho.co.jp/
海外人材を受け入れた経緯や待遇
Fnavi:どのような経緯で人材の受け入れを始められたのでしょうか?
迫(敬称略):ゾーホージャパンは、インドに本社を置く外資系企業なので、本社からの出向という形で受け入れを開始しました。現在は、5人の人財が働いています。2-3か月後には7-8人に増員する予定です。弊社には、主要な製品だけで20種類ほどあり、本社のエンジニアに常駐してもらうことで日本国内での対応をスムーズに行う体制を整えています。
Fnavi:インド人人材の待遇はどのように決定されましたか?
迫:勤務体制は、福利厚生も含めインド本社に同じにしています。日本のオフィスをサテライトオフィスとして扱っています。給与についても基本的にインドと同じですが、インドと日本では物価が違うので、物価の水準に合わせて調整をしています。
外国人人材の受け入れで難しかった点
Fnavi:外国人人材を受け入れる上で難しかった点はありますか?
迫:インドでは食文化を非常に大事にしています。ですから、日本でも本格的なインド料理を食べられるように体制を整える必要がありました。インド人社員は静岡県の川根本町にあるサテライトオフィスで働いていますが、そこでもインド料理が食べられるように、食堂の方にインドレストランのシェフから直接料理を習ってもらいました。
Fnavi:それは徹底されていますね!
迫:実はそれでもまだ改善する必要があるんです。そのシェフの料理が北インド料理だったので、本社から来たスタッフにとっては少し合わないんです。ゾーホーの本社はチェンナイという南インドの都市にあるので、スタッフにとっては南インド料理が馴染みの味なんです。
Fnavi:それくらい食生活についてはこだわりがあるということですね。
Fnavi:その他、価値観の面などはどうでしょうか?
迫:私はアメリカ人と中国人、インド人と働いたことがあります。私にとっては、インド人のほうが働きやすかったです。彼らには日本人の気持ちを理解しようとしてくれるところがあると感じます。インド人の方が日本人に近いと思うのです。
実際、日本のスタッフが来日したインド人スタッフと友達になって、休日に彼らを観光に連れて行くことがよくあります。そうすると、その日本人スタッフがインドに行った時、彼らも同じように観光案内をしてくれるのです。返報性の質が、日本人の感性に近いように感じますね。
Fnavi:なるほど。なんだか、すごく親近感がわきますね!逆に違いを感じるような場面はありますか?
迫:そうですね。インド人だからというよりも、弊社がもともとアメリカのシリコンバレーで生まれた会社であることに由来するかもしれませんが、売上や成長率については日本企業にはないシビアさがありますね。あと、チャンスやチャレンジに対して日本人は少し消極的なところがありますが、インド人は果敢に挑戦していく傾向があります。彼らからすると「今までと同じことをやっているなら、やる意味はない」というようにとらえているようです。また、インドの方が日本よりも休日が少ないのも特徴的かもしれません。インドでは4週間中3週間は土曜日も出勤していますので、インド人スタッフもインドの制度に合わせた働き方をしてもらっています。あと、インド人は夜型の人が多いようです。
Fnavi:日本企業が外国人材に求めるスキルとして日本語力がありますが、ゾーホージャパンさんではどうでしょうか?
迫:ゾーホーの場合は、インド人スタッフとのコミュニケーションは英語です。日本人スタッフの多くが英語を話せるので、あまり問題がないんです。
Fnavi:日本人スタッフの皆さんは、どれくらいの英語力をお持ちなんでしょうか?
迫:募集要項上はTOEIC600点以上が望ましいと書いてありますが、実際には800点以上、中には満点のスタッフもいます。それに加えて、弊社では入社後しばらくすると数か月インド本社で研修を受ける制度があるので、そこでインド人の英語に慣れる面もあると思います。
Fnavi:その他、新しい取り組みはされていますか?
迫:最近は、静岡大学の留学生にインターンシップを体験してもらっています。留学生としてきている学生たちは、優秀でまじめな人が多いです。ゾーホーがサテライトオフィスを置かせていただいている川根本町の課題解決をテーマにインターンシップを行いました。留学生が非常にまじめに取り組んでくれて、町の皆さんにも好評でした。
Fnavi:お話をお聞かせいただき、ありがとうございました。
編集者所感:郷に入りては郷に従えは合理的ではない
今回、迫社長にお話を伺って強く感じたのは「郷に入りては郷に従え」は必ずしも合理的ではないということです。人材採用の目的は、あくまで優秀な人材に活躍しもらうことで企業の業績を高めることです。「優秀な人材を獲得するためには人材にとって働きやすい環境を提供する」という企業スタンスが今後は日本企業に求められるのかもしれません。ゾーホージャパンさんがインドに本社を持つ外資系企業ですが、日本に本社がある企業であっても、世界の優秀な人材から見て魅力的な会社になるためには人材のニーズに真剣に向き合う必要がありそうです。
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